ビジュアルプログラミングとは?
ビジュアルプログラミングとは、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作でプログラムを作成できることから、子ども向けプログラミング学習に最適です。
今回は、プログラミングに初めて触れるような子どもでも使いやすく、楽しく学習できるビジュアルプログラミングの特徴や代表的なツール、おすすめのオンラインスクールなどを解説します。
コード記述不要。直感的にプログラミングできる「ビジュアルプログラミング」
ビジュアルプログラミングとは、コードを記述することなくプログラミングができる点が大きな特徴です。多くの場合、操作はドラッグ&ドロップで完結するので、直感的にプログラミングをすることが可能です。
そのため、小さな子どもでも使いやすく、プログラミング教室はもちろんのこと、小学校などの教育現場でも幅広く取り入れられています。
くわしくは後述しますが、現在では「○秒動かす」といった指示が記されたブロックを配置して動きを作っていく「Scratch」や、フローチャートのようにブロックを配置して線でつないでいく「MESH」など、さまざまなビジュアルプログラミング言語が登場しています。
ビジュアルプログラミングの特徴や学べるツールを解説
ビジュアルプログラミングは、コードを記述することなくプログラミング可能な点が大きなメリットですが、複雑な処理は苦手といったようなデメリットも存在します。
また、現在ではプログラミング学習や教育が大きく注目されています。
以下の項目で、ビジュアルプログラミングのメリットやデメリット、必要とされている背景や学ぶ意義をくわしく解説していきます。
ビジュアルプログラミングのメリット・デメリット
ビジュアルプログラミングのメリットとして大きなものとしては、何といっても「わかりやすい」という点が挙げられるでしょう。直感的な操作が可能ですのでプログラミング初心者や子どもでも簡単に扱うことができます。
またイラストやキャラクターなどを用いてゲーム感覚でプログラミングを組めるアプリケーションも多く、この点もまた子どもが学習するさいのモチベーションアップに繋がります。
いっぽうのデメリットとしては、ブロックを組み合わせるだけでは複雑な処理が表現できない点が挙げられます。また通常のプログラミングの場合に比べて、ブロックなどの図形を用いたツールでは検索性が低いことから、該当する部分を見つけ辛かったり、修正しにくかったりすることも。
また、ビジュアルプログラミングから一般的なプログラミングに切り替えるときには、互換性がほぼないため、ビジュアルプログラミングで学んだことが役立てにくいといった難点もありますが、後述する「プログラミング思考」を身につけるのには大きく役立ちます。
ビジュアルプログラミングが必要とされている背景や学ぶ意義
2020年度より、小学校でのプログラミング教育が必修化されています。その流れを受けて、プログラミングやビジュアルプログラミングが注目を集めています。
なぜ、プログラミング教育が必修化されたのか、文部科学省の『小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)』によれば、「現在、社会や産業の構造が変化していく中で、私たち人間に求められるのは、定められた手続を効率的にこなしていくことにとどまらず、自分なりに試行錯誤しながら新たな価値を生み出していくことであるということ、そして、そのためには生きて働く知識を含む、これからの時代に求められる資質・能力を学校教育で育成していくことが重要である」としています。
これから大きく変革していく社会のなかで活躍できる人材を育成するために、プログラミング教育が必要であるとしているのですが、実は文部科学省では「プログラミングを書くこと」に重きをおいてはいません。
同資料にも「プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理をおこなうよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない」と記述されています。
「プログラミング思考」という言葉が登場しましたが、定義としては「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」としています。
プログラミングでは、処理する対象の細分化や、処理を実行するための繰り返しや条件分岐などがおこなわれます。この複雑な要素を細かく切り分ける能力や、問題の本質を見出すまでの思考過程などは、他分野でも応用できる能力です。その能力を育むうえで、プログラミング思考が重要とされているのです。
そして、子どもがプログラミング思考を学ぶさいには、ビジュアルプログラミングが大きく役立ちます。実際、小学校のプログラミング教育では、ビジュアルプログラミング言語を使用しているケースも多く見られます。
たとえば、杉並区立西田小学校では「正多角形をプログラムを使ってかこう」という授業が「Scratch」を用いておこなわれています。また町田市立町田第三小学校でも、Scratchを使用した「AI×スクラッチでどんなことができるかな」と題された授業がおこなわれており、いずれも高い効果を得たそうです。
出典:小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
ビジュアルプログラミングを学べるツール
本項では、「Scratch」や「プログラミン」などのビジュアルプログラミング言語を紹介していきます。
ほとんどのツールが無料で使えるため、誰でも気軽に導入することができます。また先述したように、小学校のプログラミング教育で採用されている言語も多く、授業を受ける前の予習としても効果的に使えることでしょう。
「Scratch(スクラッチ)」
「Scratch(スクラッチ)」は、ビジュアルプログラミング言語のなかでもとくに有名なアプリケーションです。
ブロックを組み合わせてプログラムを作り、操作は主にマウスのドラッグ&ドロップでおこないます。制作したプログラムにあわせてキャラクターが動くため、それらを確認しながら修正や再実行などの作業がしやすくなっています。
価格は無料で、ウェブブラウザ上で動作しますので、導入ハードルが低い点も好印象です。
対象年齢も未就学児〜高校生までと幅広く、長期間同じツールで学べることも大きなメリットだといえるでしょう。
価格:無料
動作環境:ブラウザ
日本語対応:有
対象年齢:未就学児〜高校生
公式サイト:Scratch
「プログル」
「プログル」は、特定非営利活動法人みんなのコードが公開しているビジュアルプログラミング言語です。
Scratchのようにブロックを組み合わせてプログラミングをしていくタイプで、与えられる課題をクリアして進んでいくドリル形式の教材で、学習者だけでなく、教師も使いやすいように設計されています。
価格は無料で、ブラウザのみで動作するため導入ハードルも低くなっています。対象年齢は小学校高学年です。
価格:無料
動作環境:ブラウザ
日本語対応:有
対象年齢:小学校高学年
公式サイト:プログル
「Viscuit(ビスケット)
株式会社合同会社デジタルポケットが提供している「Viscuit(ビスケット)」は、自分で描いた絵を変化させたり動かしたりできる、一風変わったビジュアルプログラミング言語です。
プログラミングをおこなうさいには、画面上にある「めがね」と呼ばれるツールが用いられ、文字を一切使わない仕様のため、未就学児でも使いやすくなっています。
また公式サイトには多くの参考動画が掲載されており、子ども向けのテキストも市販されています。
価格は無料で、動作環境はブラウザのほかにもiOS,、Androidでも使用可能です。
価格:無料
動作環境:ブラウザ / iOS / Android
日本語対応:有
対象年齢:未就学〜小学校低学年
公式サイト:「Viscuit(ビスケット)」
「MakeCode(メイクコード)」
「MakeCode(メイクコード)」は、Microsoftが開発・提供しているプログラミング言語です。
ブロックを使用するビジュアルプログラミングにくわえて、テキスト言語(JavaScript(ジャバスクリプト))も使えるため、ビジュアルプログラミングからの切り替えもほかの教材を比べてスムーズにおこなうことができるでしょう。
また「MakeCode for Minecraft」や「MakeCode for micro:bit 」などの別バージョンも用意されていて、幅広いジャンルや環境で学ぶことが可能です。
価格は無料で動作環境はブラウザとなっており、対象年齢は小学校低学年〜高学年まで広く設定されています。
価格:無料
動作環境:ブラウザ
日本語対応:有
対象年齢:小学校低学年〜高校生
公式サイト:MakeCode
「プログラミン」
「プログラミン」は、文部科学省が提供しているプログラミング言語で、Scratchを参考に開発されています。
ブロックを組み合わせてプログラムする点は同じで、参考動画やお手本も多数用意されていますので、プログラミング初心者でもわかりやすく使うことができます。
価格は無料で動作環境はブラウザとなっていますが、Adobe Flash Playerが必須です。
価格:無料
動作環境:ブラウザ
日本語対応:有
対象年齢:未就学児〜小学校高学年
公式サイト:プログラミン
子ども向けのビジュアルプログラミングスクール5選
本項では、ビジュアルプログラミングを学べる子ども向けスクールをピックアップして紹介していきます。また選定の基準としては居住地域の差を無くすため、原則オンラインで学べることとしています。
どのスクールも家庭で受講できますので、ぜひ参考にしてみてください。
「Code Camp KIDS Online」
「Code Camp KIDS Online」は、コードキャンプ株式会社が開催しているプログラミングスクールです。
対象年齢は小学校3年生〜中学校3年生程度までとなっており、月4回、全60回のレッスンが用意されています。
プログラミング言語はScratchが用いられ、映像教材を用いて習熟度に合わせた学習をおこなうことができます。また受講生専用のSNSもあり、学習だけでなくコミュニケーションの場も用意されています。
公式サイト:子ども向けオンラインプログラミングスクール|CodeCampKIDS Online(コードキャンプキッズオンライン)
「NANAIRO PROGRAMMING SCHOOL」
「NANAIRO PROGRAMMING SCHOOL」は、株式会社ナナイロによるプログラミングスクールです。
Scratchを用いてゲームを作りながら学ぶ方式がとられており、楽しく、飽きずに続けられるようなカリキュラムが組まれています。
また全12回のレッスンで19,800円(税抜)と、他のプログラミングスクールに比べてコスパが優れていることも大きな魅力だといえるでしょう。
公式サイト:nanairo-programming
「子ども専用オンラインプログラミング おうちでコード」
おうちでコード運営事務局が開催している「子ども専用オンラインプログラミング おうちでコード」は、「お母さんプログラマーが自分の子どもたちに教えるためにカリキュラムを考えた」プログラミングスクールです。
コースはScratchクラスとビスケットクラスがあり、グループレッスンとマンツーマンレッスンからそれぞれ選択可能です。
無料で受講できる体験授業も用意されていますので、「オンラインプログラミングスクールの雰囲気を体験してみたい」といった方にもピッタリのスクールだといえるでしょう。
出典:小学生向けオンラインプログラミング教室「おうちでコード」 | 小学生向けインターネット上で受けられる!プログラミング教室「オンラインスクラッチクラス」
「PROKIDS」
「PROKIDS」は、株式会社プロキッズが運営するプログラミングスクールです。完全マンツーマンのプライベートレッスン方式で、授業はSkypeやGoogleハングアウトなどを用いておこないます。
初心者から本格的なプログラミングをしたい方まで対応しており、言語もScratchなどのビジュアル言語からPythonなどまで、幅広く受講することが可能です。
また約45分の無料体験授業もおこなわれています。
公式サイト:小学生・中学生向けプログラミング教室 オンライン(マンツーマン)
「D-SCHOOLオンライン」
「D-SCHOOLオンライン」は、エデュケーショナル・デザイン株式会社が運営しているプログラミングスクールです。
子ども向けとしてはScratchやMinecraft、ロボットプログラミングコースなどがあり、英語&プログラミングコースといったハイブリッドなレッスンもラインナップされています。
講師は現役のプログラマーがつとめており、また英語に関しても国際資格であるTESOL取得者や、英語教員免許保持者など、しっかりとしたスキルやキャリアをもった講師から指導を受けることができます。
公式サイト:D-SCHOOL オンライン :【小中学生】英語&プログラミング オンラインコース
子ども向けのオンラインビジュアルプログラミング教材も
子ども向けのビジュアルプログラミングにおいては、プログラミングスクール以外にも、家庭で気軽に学習できるオンライン教材が提供されています。
たとえば、サイバーエージェントとテックキッズスクールが提供している「QUREO」では、Scratchのようにブロックを組み合わせてゲームを作成することでプログラミングの基礎を学習できます。
1つのレッスンは1つのゲームに対応しており、学習が進むたびに難易度が向上していきます。ビジュアルプログラミング言語は、基本的にゲームのように楽しく進めていけるものばかりですが、「QUREO」には格的な物語も用意されていますので、よりゲームに近い感覚で学習を進めていけます。
まだまだ数はそこまで多くはありませんが、プログラミング学習・教育が根付いていくにつれ、これから増々多様なサービスが登場することでしょう。
出典:QUERO
まとめ
今回のコラムでは、ビジュアルプログラミングの特徴や代表的なツール、おすすめのオンラインスクールなどを解説しました。
ビジュアルプログラミングは、プログラミングに初めて触れる子どもでもスムーズに学習することができますので、プログラミングの基礎や思考を学ぶのに最適なツールです。
2020年度からプログラミング学習が必修化されたことも手伝って、これから増々重要視されることでしょう。幼少時の教育の一環として、小学校の授業などの予習としてなど、ビジュアルプログラミングの導入を考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。