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教育コラム

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教育分野で注目を集める「EdTech」の定義やサービスを解説

教育分野で注目を浴びる「EdTech(エドテック)」

現在、教育分野で注目を浴びているのが「EdTech(エドテック)」です。エドテックは教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、さまざまな企業がサービスを展開し、教育機関が取り入れています。

今回のコラムでは、エドテックの定義や注目されている背景、特徴や国の取り組み、代表的なエドテックサービスなどを解説していきます。

エドテックの定義、注目されている背景

EdTech(エドテック)とは、教育(Education)とテクノロジー(Technology)からなる造語で、主に教育分野において技術革新やイノベーションなどを引き起こす動きや、教育環境のトレンドなどを指します。

似たような使われ方をしている例としては、既存の産業とデジタル技術や情報通信技術を組み合わせる「X-Tech」、金融とテクノロジーを組み合わせた「FinTech」、医療とテクノロジーからなる「MedTech」などがあり、どれも任意の産業にテクノロジーをかけ合わせたものとなっています。

上述のとおり、エドテックは教育×テクノロジーの組み合わせで、知育アプリケーションやプログラミング学習、オンライン学習の配信サービスなど、IT技術を駆使したさまざまなサービスが登場しています。また教育者が生徒の学習状況を管理するツールなどもエドテックに当てはまります。

エドテックが注目されている背景として、大きなものとしては「教育格差の解消」が挙げられます。

たとえば、家庭の経済状況、保護者の学歴や収入、都市部や地方といった居住地が異なると、大きな学習機会の格差が生まれてしまいます。

エドテックに関連したサービスは、従来の塾や家庭教師、通信教育よりも低価格なものが多く、なかには無料で使用できるものも少なくありません。また、オンラインサービスが主流ですので居住地による有利・不利も生まれません。

実際に、エドテック発祥の地であるアメリカでは、「edX(MOOCとも)」と呼ばれるハーバード大学とMITが共同開発した大学講義の無料受講サービスにおいて優秀な成績をのこしたモンゴルの少年が、MITに特待生として入学した事例も存在します。

このことから、教育格差を解消するための手段として、エドテックは注目されているのです。

さらに、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるなど、最近では子どもの頃からIT教育を受けさせ、これからの高度な情報化社会に適応できる人材の育成が重要視されてきています。ここでも、エドテック関連サービスや大きな役割を果たしていると言えます。

また学習側だけでなく、教える側、つまり教育現場でもエドテックは浸透してきています。教師の長時間労働や業務にかかる負担の大きさは度々報道で取り上げられていますが、こういった問題の原因には、非効率な業務が改善されないことや、ITツールなどの活用不足が考えられます。

上記のような問題では、たとえばエドテック企業が提供している学習状況の管理ツールや、学校情報・就学管理・出血管理・成績管理などを一元化しておこなえるツールを導入することで、業務の効率化や生産性が向上するのではと期待されています。

このように注目され、浸透してきているエドテックは、市場規模も年々増加しています。野村総合研究所が発表した「ITナビゲーター2020年版」では、2019年のエドテック市場規模は2,044億円(学習プラットフォーム・支援ツール477億、コンテンツ249億、学習教育コンテンツ1,318億)となっており、2025年の予測では3,210億円(学習プラットフォーム・支援ツール603億、コンテンツ267億、学習教育コンテンツ2,340億)まで成長するとしています。

エドテックは2000年中頃にアメリカで誕生しましたが、生まれて以降着実に成長しており、市場規模も大きくなってきています。このことからも、社会が必要としている旨や、注目度合いが伺えるのではないでしょうか。

出典:「ITナビゲーター2020年版」

エドテックの特徴

エドテックと似たものとして、よく比較されるのが「eラーニング」です。eラーニングとは日本では2000年代から広まってきた学習システムで、PCやスマートフォンを使い、インターネット上で学習できるシステムです。

ネット上で学習できるシステム・サービスという点ではエドテックと同様ですが、エドテックでは「アダプティブラーニングが可能である」ことがeラーニングと大きく異なり、最大の特長でもあります。

アダプティブラーニングでは、個々の学習状況に応じて学習内容を調整し、提案するシステムです。個人個人の学習進捗や回答内容、学習ペースなどのさまざまなデータを蓄積し、それらをAI技術やICTを用いて分析して、学習者に対して最適な学習内容を提供することができます。

従来の学習は、学校であろうが塾であろうが学習レベルが異なる生徒たちに対して同じ内容の授業がおこなわれていました。するとどうしても理解度の差が生まれてしまい、進んでいる生徒は物足りなく、ついていけない生徒は取り残されてしまうといった問題が引き起こされます。しかし、アダプティブラーニングを活用すれば、個人個人にあったレベルの学習が提供できるため、効率的な学習が可能となります。

アダプティブラーニングの活用は、教員側にも大きな利点があります。数十名の生徒を1人で見るような状況では、1人1人レベルに応じた学習内容を提供するのは不可能ですが、アダプティブラーニングを使えば解決可能です。また教員の指導力による教育格差も無くすことができます。

さらに学習状況を逐一システム上で把握できるため、より生徒の状況を明確に把握できるようになり、適切な指導をおこないやすくなります。

経済産業省のエドテックへの取り組み

エドテックはさまざまな企業が多様なサービスを展開していますが、日本では経済産業省も積極的に推進しています。

官民連携で実証実験がおこなわれることも多く、エドテックを次の時代への教育に関わる重要なキーワードとして捉えていることがわかります。

以下で、経済産業省がどのような取り組みをおこなっているかを具体的に解説します。

経済産業省がおこなっているエドテックへの取り組み

経済産業省では、2018年より有識者会議「未来の教室」を立ち上げており、エドテックを活用して、いかに新しい教育を作り上げるかを議論したそうです。本会議の対象は初等中等教育分野で、内容は「未来の教室ビジョン」にまとめられています。

「未来の教室ビジョン」では、「学びのSTEAM化」、「学びの自立化・個別最適化」、「新しい学習基盤の整備」を3本柱としています。

学びのSTEAM化は、「一人ひとりのワクワクする感覚を呼び覚まし、文理を問わず教科知識や専門知識を習得すること(=「知る」)と、探究・プロジェクト型学習(PBL)の中で知識に横串を刺し、創造的・論理的に思考し、未知の課題やその解決策を見出すこと(=「創る」)とが循環する学びを実現する 」ことであるとされています。

「学びの自立化・個別最適化」は、「子ども達一人ひとりの個性や特徴、そして興味関心や学習の到達度も異なることを前提にして、各自にとって最適で自立的な学習機会を提供していくこと」であり、その実現のためには「AI(人工知能)やデータの力を借りて、子ども達一人ひとりに適した多様な学習方法を見出し、従来の一律・一斉・一方向型の授業から、EdTech を用いた自学自習と学び合いへと学び方の重心を移すべきである」としています。

そして「新しい学習基盤の整備」は、上記のような教育を実現するためのインフラ整備、つまりエドテックを活用して個別に最適化した学びを提供するための環境づくりが必要であるとしています。

このなかで、とくにエドテックが関わっているのが「学びの自立化・個別最適化」です。同資料によれば、個別指導にエドテックを導入している学習塾などは増えてきているものの、学校現場では未だ一律・一斉・一方向の授業が根強く残っていると指摘しています。

そのため、個別に最適化された学びを進められる環境が整えにくく、また個々の発達状況や学習記録がデータとされて蓄積されていない点も、対応が後手に回っていると結論づけています。また授業時数や学年、居場所などの制約も乗り越えるべき課題であるとしています。

こうした課題を解決するためには、子どもたち自身がエドテックを活用して自ら学び、わからないことは友達同士で学び合ったり、教師へ質問したりして解決するといった主体的な学び方に教育の重心を移していくことが重要であるとしています。また幼児期から個別の学習ログを蓄積し、学校や学習塾、フリースクールなど公的・民間教育機関を横断して相互に運用していくべきであるとしています。

このように、エドテックは企業だけでなく、国においても新しい教育をほどこしていくうえで積極的に活用しようとしています。実現するための課題は山積みであるといえますが、ますます推進されていくことでしょう。

出典:「未来の教室」ビジョン

各種エドテックサービス紹介

前述したように、企業が展開しているエドテックサービスは多岐にわたり、市場も年々拡大しています。

今回は、主に未就学〜小中学校向けのエドテックサービスをピックアップしてご紹介します。

スタディサプリ

スタディサプリは、リクルートマーケティングパートナーズによるオンライン動画学習サービスです。対象は小学校4年生〜社会人までと幅広く、算数や社会などを1回15分の講義で学ぶことができます。

料金は月額1,980円(小学生向け)で、全科目に一流の講師が監修したテキストが用意されていて、動画とあわせて効率の良い学習が可能。

また保護者用管理ページにある「まなレポ」を使えば、学習時間や正答率などを確認することができるなど、サポート機能も充実しています。

公式サイト:【公式】スタディサプリ小学講座|短時間で、ギュッと。

スマイルゼミ

スマイルゼミは、ジャストシステムが提供しているタブレットで学べる通信教育で、幼児向け・小学生向け・中学生向けがラインナップされています。

幼児向けには運筆、ひらがなの音と形の認識や、図形の認識などをゲーム感覚で学ぶことができます。
小学生向けでは、2020年度から必修化されたプログラミング教育の内容を盛り込むなど、時代にマッチした学習が用意されています。

また学習到達度を測るテストをおこなうことで、苦手分野や得意分野を判定し、個々に最適な授業をおこなうことができます。テストの結果はスマートフォンなどで確認できますので、保護者もしっかりと進捗状況を確認可能です。

公式サイト:1年生|タブレットで学ぶ小学生向け通信教育「スマイルゼミ」|【公式】

RISU算数

RISU JapanのRISU算数は、算数の学習に特化したオンライン学習サービスです。
対象は幼稚園年中〜小学校6年生までで、東京大学や早稲田大学など、有名大学に通うチューターが学習のフォローアップをしてくれる点が大きな特長です。

1人1人の学習データを分析し、個々のレベルにあった問題や動画を配信してくれるため、非常に効率の良い学習が可能です。

また学習定着度を深めるために、忘れてしまいがちなタイミングでの復習と、間違いが多かった問題の復習を自動で出題するなど、エドテックがもつ強みをしっかりと活かしたサービス内容となっています。

公式サイト:RISU算数 - お子様1人1人にピッタリの学びを届けるタブレット教材

進研ゼミデジタル

「進研ゼミ」でお馴染みのベネッセコーポレーションも「進研ゼミデジタル」という、オンライン講座主体のエドテックサービスを提供しています。

対象は0歳〜6歳までのこどもチャレンジと、小学校〜高校卒業までをカバーする各講座があり、幅広い年齢で受講することができます。

授業は通常のオンライン授業にくわえて、専用のレッスンも受けられる双方向の参加型オンライン授業が採用されています。
進研ゼミ会員であれば追加受講費がかかりませんので、あわせて利用されている方も多いようです。

公式サイト:オンライン授業(教育)|進研ゼミ・こどもちゃれんじ|ベネッセの通信教育

スマートエデュケーション

スマートエデュケーションは、主に未就学児に向けた知育アプリやICT教育プログラムを提供しています。

知育アプリでは「やったね!できたね!アンパンマン」「わたしのはらぺこあおむし」など、誰もが知っている有名コンテンツを素材として、ゲーム感覚で楽しく遊び、学べるものがラインナップされています。
無料で使えるアプリも多くありますので、気軽に試せることも利点だといえるでしょう。

また数多くの幼稚園や保育園で採用されている「KitS」では、「アートポン!」や「とりえ」などの個性的な教材を用い、子どもたち同士で学び会える共同学習を通すことで、協調性やチームワーク力を学ぶことができます。

公式サイト:SMART EDUCATION, LTD. | 株式会社スマートエデュケーション

すらら

すららネットが提供しているすららは、ゲーム感覚で学ぶことができる対話型デジタル教材です。

「つまずき診断」という自動判断システムが優秀で、ある問題が「解けない」原因を自動で診断し、つまずきを解消するための問題を出題してくれます。

また学力に応じて問題の難易度が調整されるため、個別に最適化された学習をおこなうことができます。

公式サイト:【公式】株式会社すららネット|SuRaLa Net Co.,Ltd.

スクールTV Professional Edition

イー・ラーニング研究所の「スクールTV Professional Edition」は、学校の授業と親和性の高いエドテックサービスです。

対象は小学校1年〜中学校3年生で、主要5教科、全国教科書に対応したオンライン動画で学ぶことができます。
動画の本数は1,000本以上用意されており、コンテンツの内容も非常に充実しています。

また子どもが通う学校を登録することで、採択されている教科書が自動設定できるため、日々の授業の予習・復習などに使いやすい点が大きな魅力です。

公式サイト:【学習塾・学校用】小中学生向け動画教育サービス[スクールTV Professional Edition(プロフェッショナルエディション)]

はやべん

CHARCOAL STARTERは、小学校1年〜高校3年生までを対象としたクイズアプリ、はやべんをリリースしています。

全学年・全教科の暗記・計算問題を早押しクイズ形式で学べ、苦手な問題に関しては復習モードを使うことにより、間違えた回答を集中的に潰すことができます。

回答したスピードと正答率に応じてスコアが算出され、参加者のなかでどのくらいの順位かを見ることもできますので、モチベーションを保ちやすいのも大きな特長であるといえるでしょう。

現在、主要5教科のクイズは無料ですが、復習モードは有料プランとなりますので注意が必要です。

公式サイト:はやべん│いま-みらい塾

まとめ

今回のコラムでは、エドテックの定義や注目されている背景、特徴や国の取り組み、代表的なエドテックサービスを解説しました。

これからの複雑な情報化時代に対応できる人材を育成するために、教育格差を是正するためにもエドテックは重要です。

また、そこまで問題意識を持たなくとも、オンラインで学習できるエドテックサービスは家庭における教育にも最適であるといえます。授業内容の先取りはもちろん、内容がわからなくて取り残されてしまうといった子どもにも大いに役立ちますので、気になる保護者の方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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