お電話でもお気軽にお問合せください

03-6805-4155

平日:10:00~20:00

無料体験を申し込み

教育コラム

プログラミングスクール-egg

column

小学校プログラミング教育の現状や課題を解説

2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育。以前も「2020年度より必修化!子ども向けプログラミング教育の目的やメリットを解説」で扱いましたが、今回はより最新の情報をもとに、小学校におけるプログラミング学習の現状を解説します。

あわせて、プログラミング必修化の背景やこれからの展望、実施事例や課題などに関しても触れていきます。

なぜ小学校でプログラミング教育が必修化されたのか。背景を解説

小学校でプログラミング教育が必修化された背景には、「社会の大きな変化に対応できる人材の育成」が挙げられます。

ここで言う社会の大きな変化について、文部科学省の『小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)』では、「現在、社会や産業の構造が変化していく中で、私たち人間に求められるのは、定められた手続を効率的にこなしていくことにとどまらず、自分なりに試行錯誤しながら新たな価値を生み出していくことであるということ、そして、そのためには生きて働く知識を含む、これからの時代に求められる資質・能力を学校教育で育成していくことが重要である」と記されています。

上記の「社会や産業の構造が変化していく」をもう少し紐解くと、AIやビッグデータ、ロボットテクノロジーなどの最先端技術がより高度化し、産業や社会生活の中に浸透、組み込まれていくにあたって、社会に劇的な変化が起こるということで、文部科学省などでは劇的な変化が起こった世界を「Society5.0」と呼称しています。

また、令和2年2月に発表された『小学校プログラミング教育の手引(第三版)』によれば、「職業生活をはじめ、学校での学習や生涯学習、家庭生活や余暇生活など、あらゆる活動において、コンピュータなどの情報機器やサービスとそれによってもたらされる情報とを適切に選択・活用して問題を解決していくことが不可欠な社会が到来しつつあります」とし、「コンピュータを理解し上手に活用していく力を身に付けることは、あらゆる活動においてコンピュータ等を活用することが求められるこれからの社会を生きていく子供たちにとって、将来どのような職業に就くとしても、極めて重要なこととなっています」と結んでいます。

つまり現在の受動的な授業では、Society5.0の時代に対応できる人材を育てるのは難いと言わざるを得ません。そこで、より能動的に自分自身で考え、問題や答えを見つける力を育むためのカリキュラムとして、プログラミング教育に白羽の矢が立ったというわけです。

では、なぜプログラミング教育が「能動的に自分自身で考え、問題や答えを見つける力を育む」ことができるのかというと、プログラミングによって身につけられる「プログラミング思考」が重要な役割を果たしています。

再び『小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)』では、プログラミング思考を以下のように定義しています。

「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」

プログラムを組むときには、処理する対象を細分化したり、その処理を実行するための繰り返しや条件分岐などをおこないます。この一連の流を身につけることで、たとえば複雑な物事を細かく切り分けて解きやすくしたり、解決するべき問題のなかで何が重要なのかを導き出したりするといった、別分野にも応用できる思考を育むことができます。

このように、小学校におけるプログラミング教育とは、社会の大きな変化に対応できる人材を育むために、「プログラミング思考」の能力育成を目的として推進されているのです。

出典:小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
出典:小学校プログラミング教育の手引(第三版)

小学校プログラミング教育の現状

小学校でプログラミング教育がおこなわれている理由や背景は上述したとおりですが、ここからは、では現在、プログラミング教育の現状はどのようになっているのか、また今後の展望はいかなるものなのかを解説していきます。

ICT環境の整備が進み、事例も豊富になってきている。小学校プログラミング教育の現状

2020年度からプログラミング教育が必修化されたこともあり、小中高等学校などの各教育機関では、着々とプログラミング教育が導入され、事例も豊富になってきています。

事例に関しては後の項目で詳述しますが、現状として具体的にどのような動きがあるかというと、「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」によれば、文部科学省・総務省・経済産業省が運営している「未来の学びコンソーシアム」WEBサイトに記載されている実践事例や教師用教材などを活用することにより、プログラミング教育の円滑な実施を支援しています。

また、学校のICT環境整備や学校情報セキュリティの確保もしっかりと進めていくことが望ましいとしています。

ちなみにICTとは、プロジェクターやPC、デジタル教科書や学習アプリといったハード・ソフトウェアから無線LANなどを指し、それら情報通信技術を活用して授業をおこなうことは「ICT教育」と呼ばれています。

このICT環境の整備はプログラミング教育には必要不可欠であり、具体的なアクションとして文部科学省が「GIGAスクール構想」を提唱して環境整備を急いでいます。

GIGAスクール構想とは、児童生徒1人に対して1台の端末を支給し、高速大容量の通信ネットワークを整備することで、個別に最適化された教育環境をおこなうことを目的とした構想で、「これまでの教育実践の蓄積×ICT=学習活動の一層充実。主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」を目的として推進されています。

GIGAスクール構想を実現するまでの期間としては、当初2023年までを目標としていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、在宅やオンライン学習に必要なICT環境整備が急務であると判断され、新たに2,000億円を超える予算案を組んで急ピッチで進められています。

以上のことから、プログラミング教育の現状としては、プログラミング教育の事例などは増加し、ICT環境整備なども着々と進められているものの、文部科学省などが掲げている最終的な着地点には届いていないといった見方が妥当でしょう。

出典:小学校プログラミング教育の手引(第三版)

プログラミング教育はこれからどうなるのか。展望を予想・解説

プログラミング教育の現状は上記のとおりですが、小学校での必修化以降では、どのように進められていくのでしょうか。

再び「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」から引用すると、各学校においては、「まずは、教師一人一人が、本手引を参照してプログラミング教育のねらいを確認し、授業のイメージをつかんでいただきたいと思います」と記載されています。

つまり、プログラミング教育を進めていくにあたり、教師1人1人が考え、授業で使えそうなアイデアを生み出し、「教える側」のレベルアップを図っていくことが重要であるとされています。教師がプログラミングに関してしっかりとした知識を持ち、授業に活かせればカリキュラムの「質」が向上します。質の高い教育を受けられれば児童生徒がより深く学べます。

また、同資料では「各学校は、プログラミング教育を実施する場面を、教育課程全体を見渡しながら適切に位置づけ、必要に応じて外部の支援も得つつ、実施することが必要」としています。直近の事例でも大学やNPO団体、外部企業による授業支援などはおこなわれていますが、今後はよりバリエーションが増えていくであろうことが予想されます。

くわえて、学習指導要領に例示されている単元で実施するもののほかにも、学内外での学習機会を設けるなど、さまざまな場面でプログラミング教育の組み込みがおこなわれています。

出典:小学校プログラミング教育の手引(第三版)

小学校におけるプログラミング教育事例集

これまで説明したとおり、プログラミング教育が普及していくにつれ、参考になる事例も少しずつ増えてきています。

本項では、「小学生を中心としたプログラミング教育ポータル」を参考に、小学生を対象としたプログラミング教育事例を紹介していきます。

鉾田市立鉾田北小学校(茨城県)

茨城県の鉾田市立鉾田北小学校では、株式会社Preferred Networkの協力のもと、「自動化される仕事と、私たちの生活」というテーマでプログラミング学習をおこないました。

同社のお片付けロボットを紹介し、ロボットにどのような学習をおこなえば認識率が向上していくのかなどを解説し、さらに「ものまね算」アプリを使用して、生徒たちが考えた架空の数字をアラビア数字へと変換するなどといった例示的プログラミングを学んだそうです。

出典:自動化の進展とそれに伴う自分たちの生活の変化を考えよう

東京学芸大学附属小金井小学校(東京都)

東京都の東京学芸大学附属小金井小学校では、「ブロックを組み合わせて47都道府県を見つけよう」という授業がおこなわれました。

授業内ではビジュアルプログラミング言語「Scratch」を用いて、都道府県の特徴を記した47のブロックを組み合わせることにより、都道府県の名称と位置を学習しました。普通に地図を見て学ぶよりも、不足している条件を地図帳から探し出して特定するなど、より能動的な学びを得ることができたようです。

出典:ブロックを組み合わせて47都道府県を見つけよう

府中市立府中第三小学校(東京都)

東京都の府中市立府中第三小学校では、合同会社デジタルポケットの協力のもと、「ものと情報のちがい」という授業がおこなわれました。

「もの」と「情報は」何が違うのかをテーマとして、ビジュアルプログラミング言語「
Viscuit」を使用し、プログラミングでうわさ話が広がるシュミレーションを作成。情報が拡散される仕組みを視覚的に理解するとともに、情報を正しく扱う重要さなどを学ぶことができたそうです。

出典:ものと情報のちがい

江戸川区立東小松川小学校(東京都)

東京都の江戸川区立東小松川小学校では、プログラミングに興味がある児童を対象に、クラブ活動としてプログラミング学習の場を設けています。

クラブでは「BBC」「micro:bit」「 Scratch」「 Viscuit」「embot」といったプログラミングツールを使用し、活動内容を紹介する動画や見学会の際などに使用するゲームなどを作成し、さらに希望者はプログラミング・コンテンストに挑戦するなど実践的な活動がおこなわれています。

また小学校4・5・6年生が一緒に活動することにより、学年や学級を越えた人間関係を育めたというメリットも挙げられています。

出典:パソコンクラブでのプログラミング体験

江崎グリコ株式会社

学校の教育課程内で企業が協力しておこなうプログラミング教育のほかにも、学校を会場として企業が学習機会を設けるケースも増えてきています。

江崎グリコ株式会社は、小金井市立前原小学校の小学校1・2・3年生を対象として、同社が開発した小学校低学年向けアプリ「GLICODE(グリコード)」を用いて授業をおこない、児童たちはプログラミングの基礎やロジックを学ぶことができました。

ちなみに、当該アプリはグリコのお菓子である「ビスコ」「ポッキー」「アーモンドピーク」「アソビグリコ」をそれぞれ異なる命令に変換することができ、お菓子を並べて写真に撮るとアプリ上でプログラムが実行される仕様となっており、小さな子どもでも楽しく学べるように工夫されています。

出典:お菓子で学ぶおいしいプログラミング体験と普及活動

小学校でおこなわれるプログラミング教育における課題とは

小学校におけるプログラミング教育の現状でも少々触れましたが、プログラミング教育にはICT環境の整備やネットリテラシー、指導教員の質による格差など、さまざまな課題があるのも事実です。

本項では、プログラミング教育における課題のなかでも、代表的なものをピックアップして解説していきます。

プログラミング教育の課題には、ICT整備の遅れや教育レベルの格差などが挙げられる

プログラミング教育を推進していくうえでの大きな課題といえば、まずはICT環境の整備が挙げられるでしょう。上述したGIGAスクール構想などの計画も進んでいますが、全国各地の小学校が一律で同じ環境を整備できているわけではありません。

少々大きな話になりますが、日本は世界と比較してICT活用が非常に遅れています。たとえばOECDが発表している「生徒の学習到達度調査2018年調査」の「ICT活用調査」によると、日本の学校の国語・数学・理科において、デジタル機器を利用して授業をおこなう時間はOECD加盟国のなかでも最下位に位置しています。さらに、学校の勉強のためにインターネットを閲覧したり、授業後に復習としてネットを活用するなどの利用状況においても、ほぼすべての項目で平均以下となっています。

このことからも、ICT環境の整備や、より積極的に活用するための啓蒙は喫緊の課題だといえるでしょう。

ほかにも、プログラミング教育ではPCやタブレットなどを使用し、ネットなどを見てチュートリアルや制作事例を参照することも多いため、ネットリテラシーをいかに高めるかも課題となり得ます。

プログラミングをおこなう際は、どうしてもインターネットに触れることが多くなります。その延長でSNSサイトを利用したり、ゲームや動画視聴などを楽しむことも多くなるでしょう。そうなると、ネットに関してある程度の知識をもっていなければ、悪意のあるサイトに誘導されてしまうなどといった懸念が生じます。ICT整備という「道具」の準備も必要ですが、インターネットを利用するときの心構えもまた、プログラミング教育はもちろん、デジタル社会を生きていくうえで必要なスキルだといえるでしょう。

また、指導教員によって知識やスキルが異なることも課題として挙げられます。教員用の指導マニュアルや、「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」における事例集や教材情報の提供なども充実してきてはいますが、ICT環境整備と同様に教員のレベルは学校や人によってまちまちであると言わざるをえません。

2020年度から必修化ということもあり、ノウハウが蓄積していないこともありますし、さらにプログラミング学習をすることで具体的にどのような効果が出るかや、その評価はどうするべきかなど、細かな点もより詰めていかなければいけないでしょう。

これら、さまざまな課題がありますが、これまで説明してきたように、解決するための施策は進んでいるのもまた現状です。

出典:OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント

まとめ

今回のコラムでは、プログラミング必修化の背景や現状、これからの展望、実施事例や課題などを解説しました。

まだまだ完璧とはいえないものの、各教育機関では着々とICT環境の整備やノウハウの構築などが進んできています。

プログラミング教育や、それに伴うプログラミング思考の必要性などは今後ますます高まっていくと予想されますから、児童や教育者はもちろん、保護者の方も子どもに対して「どのような学びが必要か」を考え、学内外問わず提供していく必要があるといえるでしょう。

期間限定 無料体験授業 本校で開催中
実際の授業を見て、触れて体験できる。無料体験開催中

プログラミングスクールeggでは、随時無料体験を開催しております。
1人でも多くのお子様にeggのプログラミング教育を体験して、プログラミングを好きになって、 好きなものを目一杯学んで欲しいと考えています。
まずはeggの教育に触れて見て下さい。

Experience

無料体験コース

小学生から始められるプログラミング学習。

eggでは、毎日無料体験コースを開催しています。
教室の雰囲気を知ってもらうには、まず体験コースがおすすめです。
パソコンに触れながら遊び感覚で簡単なプログラム作成に挑戦したり、
パソコンに不慣れな子どもにはタイピングやマウス操作などを教えていきます。
少人数制のため、アットホームで楽しく学べる環境を目指しています。

参加無料
少人数制
毎日開催
紹介制あり

企業・教育機関の皆様へ

学校、教育関係者様はお気軽にご相談、お問い合わせください。

プログラミングスクールeggは地域ICT教育・プログラミング教育の発展に全面的に協力していきます。
イベント、セミナー、プログラミング教育の提携などが可能となっております。
学校、教育関係者様はお気軽にご相談、お問い合わせください。

egg電話番号